非常に身近でありながら合併症は怖く、それでいて自覚症状がないため危機感を持ちにくいという、ある意味難しい病気です。だからこそ当院では力を入れている領域でもあります。
これはその名のとおり、普段の生活習慣が原因となって引き起こされる病気の総称で、代表的な3つを下記に紹介します。これら生活習慣病の最も問題となる点をひとつ挙げるとすれば、「自覚症状がない」という点でしょう。これは実は恐ろしいことです。健康診断で指摘されても放置している人もいらっしゃるかと思いますが、放置しないことが将来の健康のために最も重要な第一歩です。また、生活習慣病は他の病気と合わさることが多く、内科として総合的なアプローチが必要となる場合が多いのも特徴です。
当院ではそれぞれのライフスタイルや希望なども含めて判断し、最適な治療を提案することを心がけています。目標は大きな合併症をできるだけ遠ざけること、そして健康な人と変わらない人生を送り続けること。生活習慣病の治療は長きに渡りますから、説明と理解を重視して一緒に治療していくという気持ちで伴走させていただきます。
高血圧は脳卒中と心疾患の最大のリスク因子です。高血圧は増加しており日本人の3人に1人が高血圧と言われております。世界的に見ても高血圧は増加している状況にあります。高齢者においてはがんと同程度の生命に関わる病気であるこれらを防ぐためには、十分な血圧コントロールが必要です。
140/90mmHgを継続して超えると高血圧と判断されますが、120/80mmHgを超えて血圧が高くなるほどに合併症および死亡リスクは高くなります。
日本人の9割が本態性高血圧という原因が明確ではない高血圧です。これは遺伝的要因や生活習慣により起こります。また、原発性アルドステロン症という病気や、睡眠時無呼吸症候群などが隠れている高血圧もあります。
高血圧症の場合、然るべき降圧療法を行うことで高血圧の重大な合併症である脳卒中を40%、心筋梗塞を25%、心不全を50%以上、発症を低下させることが示されています。
「自覚症状がないから...」「薬を始めると一生やめられないと聞くし...」という気持ちもわかりますが、だからと言って放置しないでほしい病気の代表格です。
高脂血症や血液ドロドロという表現でピンと来る人の方が多いかもしれません。検診結果では「脂質関連」という項目を見てください。異常指摘をされている人は結構いらっしゃると思います。
中性脂肪が高い・悪玉コレステロール(LDL)が高い・善玉コレステロール(HDL)が低いという状態が続くとやがて動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患の重要なリスクファクターになってしまいます。血管が硬くなり血液の流れが悪くなり最終的に詰まってしまう、と考えるとわかりやすいかもしれません。
遺伝性の場合もありますが多くの場合はやはり生活習慣が原因となります。
治療は動脈硬化性疾患を防ぐことが目的です。高血圧症などと同じく将来のリスクを数値化して、ご自身にはどういった治療が望ましいかを考えていきましょう。
この3つの中で親分のような存在がこの糖尿病です。糖尿病がある方は多くの場合、高血圧も脂質異常症もあります。検診結果が手元にあれば、「空腹時血糖、HbA1c」という項目を見てください。
糖尿病は血液中の糖が多すぎる(減らせない)状態ですが、この糖が毒となり血管が障害を受けます。それによって糖尿病特有の細い血管の合併症(網膜症、腎症、神経障害)を来たしますが、同時に脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも上がります。つまりあらゆる血管が主体の病気に繋がっていく非常に怖い状態だということがわかっていただけると思います。
ただし、これもまた他の生活習慣病と同じくこれといった自覚症状がありません。なお糖尿病の有名な症状として「口渇・多飲多尿・体重減少」がありますが、これはそれなりの高血糖持続状態ですので、その場合は速やかに受診が必要と考えてください。
治療の基本は食事療法・運動療法・お薬になります。とは言え、好きな食べ物を我慢し嫌いな運動を増やすというのは私たち人間には簡単なことではありません。それもわかった上で、一緒に治療を進めていきましょう。